物忘れとクルミの関係
クルミが物忘れを予防する
名前や思い出したいことが思い出せない、すぐに忘れてしまう・・・
これらの深刻な「物忘れ」については、認知症やアルツハイマー、うつ病などさまざまな病気が隠れている可能性がある反面、加齢による純粋な衰えである場合もあります。
年々深刻になる物忘れを改善するには、普段の生活習慣や「脳トレ」の他にも、食べものを意識することも大切です。そこで今回は、物忘れに効果の高いクルミとの関係について紹介したいと思います。
クルミは、ナッツ類に分類される食材の一種です。
クッキーなどのお菓子に使われることも多いのですが、日本ではそれほどなじみ深い食材ではありません。ではなぜ物忘れに効果が高いとされているのでしょうか。
咀嚼機能を高めて脳機能をアップ
人間に備わっている歯には、ものを咀嚼して刺激を脳に伝え、記憶や思考をつかさどる部分の活性化に働きかけています。
ものをしっかり噛むだけでも、「噛んだ」という事実が脳に伝えられて、考える力がアップするのです。
広島大学の研究でも、歯のないマウスは記憶や学習を行う脳の「海馬」部分の細胞数が少なくなっていることが明らかとなっています。
クルミは硬い殻に覆われたナッツとして、しっかり噛んで海馬を活性化させ、物忘れを予防するのに役立ちます。
クルミの成分にも注目
クルミには脂質とタンパク質の他、必須脂肪酸「α-リノレン酸」を含んでいます。α-リノレン酸は脳神経への作用が大きい成分で、脳の血流をうながして、効率良く酸素を運ぶ役割を果たします。
脳に酸素が行き届くほどに細胞は活性化するため、物忘れの予防に役立ちます。
またα-リノレン酸は食べものなどから摂取が必要な「必須アミノ酸」の一種なので、体内で合成できず、クルミなどの食材からでしか摂取することができません。
さらにクルミにはトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸も含まれています。こちらは体内で神経作用を制御するセロトニン(三大物質の一つ)に変換されて活用されます。
まとめ
クルミは学術誌 「Alzheimer’s & Dementia」で認知症の予防に効果の高いMIND食(マインド食)の一つにも数えられている食材で、毎日食べることで認知機能を衰えさせない効果があるとされています。
研究では実際にアルツハイマーのリスクが53%も減ることがわかっており、緑黄色野菜やベリー類、豆、全粒穀物、魚、鶏肉、オリーブオイルと一緒に摂ることが望ましく、チーズやスイーツ、油ものなどを避けることでさらに健康効果がアップします。
MIND食のような食べ方は脳だけでなく体にも健康効果をもたらすので、ぜひ工夫してクルミを食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考URL
成和脳神経内科医院 物忘れが気になる人に
http://taku1902.jp/sub546.pdf
メスプ細胞検査研究所 歯と認知症の関係
http://www.msp-kyoto.co.jp/_src/12798989/2016年-7月号.pdf
第一出版 第1部 基礎・臨床編 1 認知症の基礎知識と基本的対応
http://daiichi-shuppan.co.jp/filedir/book/pdf/ninchi-honmon.pdf